東京都立砂川高等学校 通信制課程 託児室取材
東京都立砂川高等学校の通信制課程には託児室があります。
10代で妊娠されて、学校を途中で辞めざるを得なかったけれど、
やっぱり高校は卒業したいと思っておられる方もいると思います。
学校に託児室があったら、勉強を続けられる可能性につながるのではと、
通信制課程にある託児室とはどんなところなのか取材に行ってきました。
副校長先生にお話を聞きました。
★どんな学校ですか?
砂川高校には、定時制課程(三部制)と通信制課程があります。
託児室が開かれているのは、通信制課程のスクーリングの日です。
通信制課程では、レポート・スクーリング・試験で単位認定します。
新入生の場合、3年以上在籍し、規定の単位を履修・修得すると卒業できます。
卒業後の進路については、他の高校と同じように進路説明会や進路指導等を行っており、大学・短大進学、専門学校進学、就職と様々です。
通信制課程は、自分でスケジュールを組んで、自学・自習で勉強を進めなくてはならない難しさがあります。
学校側では、一月に一度、学習状況通知を送り、スクーリングに来ない生徒やレポートを出さない生徒には、担任の先生から連絡をするなど、リタイアせずに勉強を続けられるようサポートしています。
他にもユースソーシャルワーカーやスクールカウンセラーがいたり、地域のNPOと連携した砂川カフェなど、学校生活の面でもサポートもしています。
★託児室はどのようにして運営されていますか?
平成25年に始まり、スクーリングのある土曜日に開設しています。
現在は地元のNPO法人たすけあいワーカーズパステルに委託し、保育士さんに来てもらい、
1歳から5歳のお子さんを 8時30分から16時30分までの間の生徒の必要な時間だけお預かりしています。
保険料のみ保育料は無料で利用できます。
託児室は砂川高校だけではなく、他の都立通信制高校でも設置しています。
託児室の保育士さんにお話しを聞きました。
★どのように運営されているのですか?
「NPO法人たすけあい ワーカーズパステル」から専任の保育士でシフトを組んで運営しています。
最初は学校の和室でしたが、子どもたちが安心していられるように、部屋作りからはじめたんですよ。
学校の予算でマットやベビーサークルを購入していただいたり、おもちゃは寄付を募りました。
預かっている時間は、お母さんのスクーリングの予定によってで、授業が終わると迎えに来ます。
お昼休みは、託児室に戻ってきて、お子さんと一緒にお弁当を食べています。
その時は親子の時間と思って、保育士は部屋をあけて別のところで休憩しています。
★生徒さんやお子さんを見ていていかがですか?
ここの生徒さんはよく頑張っているし、将来のことなど、しっかり考えているなと感心します。
勉強しながら、お弁当も頑張って作ってきてえらいなぁと思います。
ママたちは若いからこそ、ちゃんとしたいという気持ちを持っているようです。
学生の状態だと、一般の保育園に入れるのが難しくて大変だと思います。
特に0歳児の託児は、認可が難しくて、この託児室も含めて1歳からが多く、預けられるところが少ないです。
子育てしながらの勉強は本当に大変だと思う、でも、高卒の資格は就職にも有利だから頑張って卒業してほしいです。
何回か利用している中で、だんだん顔見知りになっていきますが、お母さんも子育てのことなど、気軽に話してくれたらいいなと思います。
生徒さんの声
託児室に子どもを預けている生徒さんも昼休みは戻ってきて、お子さんと一緒にお弁当を食べています。
少しだけお邪魔して
「保育園に預けていますが、土曜日のスクーリングでは託児所を利用しています。」
「学校の託児室で周りに少ない同世代のお母さんと会えたのもよかった。」
というお話も聞けました。
砂川カフェ
託児所室と話題は変わりますが、砂川高校通信制での面白い取り組みがもう一つ。
それが認定NPO法人育て上げネットが運営している「砂川カフェ」。
月に一度、スクーリングの日に無料でドリンクを提供するカフェをオープンスペースで行っています。
カフェのスタッフは認定NPO法人育て上げネットのスタッフです。
ドリンクを渡すそれだけですが、ドリンクを手渡すときに声掛けをすることで、少しずつ生徒さんたちとコミュニケーションが増えていきます。
休み時間には、カフェの周りは生徒さんたちのグループでにぎわっていました。
少し離れた場所で見ている生徒さんにも声をかけて呼んで来ます。
ドリンクを渡すのはひとつのきっかけ、社会とつながりを作ることが目的と認定NPO法人育て上げネットの山本さん。
顔なじみになっていく中で、他愛ない学校や趣味の話をする関係が出来たり、相談をしてくれるようになることもあるそうです。
こうした場があることで、大人に相談するきっかけや、人とのつながりがあることで学校に来るモチベーションにもなるのではないでしょうか。